ハイスピードカメラでフォームを数値化。回転速度、滞空時間を計測する。
なぜ高く飛べるのか?板の反発力(Pop)と作用反作用の法則を解明。
空気抵抗を減らす姿勢、怪我を防ぐ着地の角度を導き出す。
物理演算の果てに、人類未踏のニュートリックが生まれる。
現代スノーボード競技は、単なる「回転数競争」を超え、物理法則の限界に挑む領域へと突入しています。 「バイオメカニクス(生体力学)」の視点から、世界を震撼させたトップアスリートたちの「凄み」を徹底解剖します。
~視界の不利を凌駕する空間認識能力~
スイッチスタンス(逆向き)からの6回転という離れ業を達成。
進行方向に背を向けた状態から、上半身と下半身のひねりを最大限活用し、通常スタンスに劣らない爆発的な回転エネルギー(トルク)を生み出しています。
6回転中、強靭な体幹でグラブを長くホールドし続けることで体の開きを抑え、着地直前まで高速回転を維持しています。
~前人未踏の回転速度と精神力の融合~
世界初のバックサイド2340を成功させた驚異的な回転数は、緻密な物理計算と強靭なフィジカルによって支えられています。
(※動画は世界初のBS 2340の映像です)
飛び出し直後に体を球体のように「絞る」動作がカギです。回転半径が小さくなるほど角速度(回転スピード)は上がります。
6.5回転中は手足が引き剥がされそうになる強烈な遠心力がかかります。手首骨折の激痛の中でこれをねじ伏せた事実は、彼のフィジカルと精神力が常軌を逸している証明です。
踏み切りの瞬間に全身を縦軸へ一気に伸展させることで、実況が「月まで届きそうだ」と評する高さを生み出しています。
~女子世界初。多軸回転を制する身体感覚~
女子選手として前人未踏の領域を切り開いた技術は、複雑な力の合成にあります。
「横回転(ひねり)」と「縦回転(伸展)」の力を絶妙なバランスで合成し、正確な斜め軸を作り出しています。
滞空時間内に4回転半(1620度)を収めるため、飛び出し直後に体を極限まで小さく折りたたみ、回転速度を一気に高めています。
長い技名は、以下の変数を組み合わせた「数式」のような構造になっています。
Example Case
バックサイド・1800・ブラッディ・ドラキュラ
(※レギュラースタンスの場合、スタンス名は省略されます)
現代のスノーボード競技において、高回転(スピン)はもはや前提条件に過ぎません。
ジャッジと観客の心を掴むのは、空中で板をどのように掴み、体をどう捻るかという
「グラブ」の独創性です。物理的な難易度だけでなく、ライダーの美学が問われる領域です。
テールを両手で掴み、両腕を吸血鬼のマントように見せる。
前足の膝の内側から手を通し、つま先側のエッジを掴む。
板を噛じるように顔を近づけ、複雑に手足を絡ませる。
両足の間から後ろ手を通し、ヒールエッジを掴む。